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グルファストによる無自覚性低血糖(H23.6.24 up)

<患者情報>
・78 歳の男性
・糖尿病、慢性腎不全
・服薬ノンコンプラアンスで、血糖コントロールが悪い
・半年前ほど前から、インスリン治療導入

<副作用内容>
・患者夫婦と友人の 3 人で日帰りのドライブ旅行に出かけた。友人が車の運転をして、患者が道案内をしたが、ぼんやりした感じで、行きなれた道なのに、上手く道案内がでなかった。目的地では、趣味のデジタルカメラで撮影し、特に変わったことはなかった。
・翌朝、患者が妻に「昨日どこかに行ったか?」と聞いたため、ドライブに行ったことを話し、患者自身が撮影した写真を見せた。しかし、患者には全く記憶がなかった。おかしいと思った妻が、原因は処方変更になったグルファスト錠と考え、この日の昼からグルファスト錠を中止することにした。
さらに同日、来月の旅行の予定があるため、予約の確認・変更で旅行会社に電話をかけた。しかし、しばらくして電話したことを忘れ、同じ電話を旅行会社へ再度かけようとしていた。


●糖尿病内科からの処方●
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グルファスト錠10mg  3錠  1日 3回 毎食直前 28日分
ベイスンOD錠0.3    3錠  1日 3回 毎食直前 28日分
ランタス注ソロスター 300単位 1 キット 朝食直前 10単位
マイクロフィンプラス 31G×5mm(14本入り) 2袋
・・・・・他剤あり・・・・・
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○無自覚性低血糖
・低血糖症状が出現することなく中枢神経症状としての「記憶障害」が惹起した可能性がある。

<無自覚性低血糖について>
・低血糖の症状には個人差があるが、通常は動悸、冷や汗、震え、不安感、頭や舌のしびれ、空腹感、頭痛、倦怠感などの「交感神経症状」(低血糖症状)が血糖値 60mg/dl 前後で出現し、注意力低下、意識障害、痙攣などの中枢神経症状はそれより遅れて血糖値が 50mg/dl 以下に低下してから現れる。
・しかし、無自覚性低血糖では、40mg/dl 台あるいはそれ以下に血糖値が低下するまでエピネフリンやノルエピネフリンの分泌が起こらない。動悸、冷汗、不安感などの交感神経症状はこれらのホルモンにより引き起こされるので、このような状態では低血糖に気づかないうち(身体の「警告症状」である低血糖症状が全く出ないまま)に意識障害や痙攣などの重症低血糖に陥る危険がある。
・原因は平均血糖値が低いことではなく、低血糖を繰り返し経験することである。

<無自覚性低血糖の治療>
無自覚性低血糖症の治療には、低血糖を完全に避けながら上手に血糖コントロールすることが必要である。これに成功すれば3、4ヵ月後には、少なくとも警告症状(低血糖症状)が再度出現するようになるといわれている。

<引用文献>
1) Diabetes, 42: 1683-1689 (1993)
2) 肥満と糖尿病、62: 936-937 (2006)